前書き

 僕は医師国家試験に対して、どうやって勉強していけばいいのかという知識がほとんどなく、手探りの状態でいろんなことをやってきました。しかし、失敗もあり国試経験者が持っているノウハウがあればもっと違った1年になっただろうなという思いがあったので、みなさんがもっと効率的に国試の勉強ができるように、僕達が学んだ経験をみなさんの勉強法に役立たせて欲しいという思いでこの項目を書きます。


師国家試験と私

 僕は20033月に行われた97回の医師国家試験を受けました。国試に向けての勉強の中で「approach」を中心にまとめつつ、1000頁のノートを作りました。それを全部載せることはできませんが、その中で特に病態生理を基にした考え方、分かりやすい覚え方などがありますので、それを中心にこのHPには載せていきたいと思います。

 ちなみに国家試験の結果は1000点満点中840点程で、「Approach」全体を1回しか通すことはできなかったにしてはよい得点で、しっかり作ったノートの効果があったのではないかと考えています。


具体的な勉強法

 医師国家試験をこれから受けるという人のために、その勉強法の目安をここに載せていくことにしましょう。医師国家試験に限らず、勉強法の基本の部分は全ての人に当てはめることができるかも知れません。
 国試の勉強は主に過去問を中心にしていきます。具体的には「
Approach」または「Question Bank」の主にどちらかを選んで1年または半年間勉強していくことになります(卒業試験が国試前に控えている人はもっと早くから準備をしないといけないです)。そのどちらを選ぶかによって、その後の進展速度、理解度に大きな影響を与えるので、まずこの2つの違いについて述べていきましょう。

Approach」は医学評論社から出版されているもので、その主な特徴は説明が非常に詳しいという点にあります。深い病態生理などを理解して忘れにくい知識にしたい人はこちらのほうがおすすめです。覚えるというよりは理解するという感覚でしょうか。しかし詳しいため、勉強の進展速度はなかなか進みません。「Qestion Bank」派の人から「もう内科を終わったよ」「後は公衆衛生だけ」「今3回目」などというような話を聞くと非常にあせるかも知れません。僕は「Approach」を使っていたんですが、中々思うようにページを稼ぐことができず(勉強の速度があがらず)焦りました。最初は説明を全部チェックして、覚えようとしていたんですが、重要なものだけを中心に覚えるという情報の質の見分けが必要だと思います。しかし深いところまで理解できるので、忘れにくい知識になり、病態生理から考えられるので応用の利く知識になると思います。「じっくりすすみたい亀さん派」の人におすすめです。「Approachで行く!」という人は早くから勉強をしていたほうがいいと思います。また、問題ごとに別の執筆者が書いているため同じような解説が何回も出てきますが、それはそれで何回も繰り返し覚えられるので確実な知識となります(くどいと思ったら読み飛ばしましょう)。しかし復習の際にはいささか効率が悪いので後で述べるノートを作りながらしたほうがいいでしょう。

Question Bank」(以下QB)はメディックメディアから出版されているもので、以前はマイナー科目のシリーズはなかったんですが、今は全科目そろっています。僕は「QB」で勉強した訳ではないので詳しいことは言えないんですが、読んでみた感じでは、説明はあまり詳しくなかった印象があります。早く進めるので気分はいいのですが、浅い知識になりがちで本当に理解できているのかちょっと不安になりました。しかし、これは人によって違うもので、無駄な知識を覚えるよりもQBで必要なことだけをコンパクトに覚えればいいという考えもあります。僕も勉強の途中でQBにしていたらどんなに楽だっただろうと考えたことがあったので、どちらがいいかを断言することはできません。approachでもQBでも国試の合格率に差はないそうです。
 しかしこれからの国試の傾向として、「考えさせる問題」が増えていくのは間違いなく、きちんと病態生理を理解した考え方をしないと太刀打ちできなくなるかも知れません。闇雲に暗記に頼るのはやめたほうがいいです。ちょっと切り口を変えられると応用が利かなくなります。そういう知識は忘れるのも早いですしね。

  

 さらに具体的な国試に向けての勉強法ですが、「Approach」または「QB」全体を3回読み通すことを目安に勉強していきます。1回目は非常に時間がかかります。僕は使えるノートを作ることにかなり時間をかけたので、「Approach」の本文は1回しか読み通せませんでした。でもノートさえ覚えていけばいいと思っていたので、不安はありませんでした。ノートに関しては後で詳しく説明します。以下は全て「Approach」での勉強の際の目安と考えてください。一日で進むペースは丸一日使える場合は100頁を目標にします(1時間で10ページ進めたら充分です)。100頁の内容を一回で全て覚えきるというような意気込みで読んでいきます。もちろん全ては覚えられませんが、後から復習できるようにするために、ポイントや数値など覚えるべき内容をノートにまとめながらやっていきます。そうして作ったノートは自分の知識レベルに合わせた覚えるべき内容ということになり、後から復習する場合でも既に分かっている知識を二度読む必要がなくなり、ノートに書いてあることを覚えればいい訳で非常に強力な武器になります。作るのに時間がかかりますが、復習するときは非常に早く終わります。僕はノートを読むことで45000ページある「Approach」全体の復習を、3回目は1週間程で終えました。

勉強時間はもちろん朝から深夜までです。丸一日使える日は、食事の時間を除き、一日に12時間以上は勉強していました。そのような生活が半年以上続くので後半はかなり精神的に苦しくなります。国家試験本番の朝に、「もうこれで勉強をしなくてすむんだ!」と、不安なようなうれしいような、不思議な感覚がしたのを覚えています。国試が済んで思いっきり遊んだことは言うまでもありません(k ̄∇)k

次に勉強場所についてです。これは結構悩むのですが、図書館で勉強をするのが一般的でしょう。市立の図書館でもいいと思いますが、僕は医学部の図書館で主に勉強しました。自分の部屋で一人やっていると、眠たくなったり、周りにあるテレビなどの誘惑物に負けてペースがあがらないことがあるので、コンスタントに進もうと思えば図書館に通いつめるのがいいと思います。でも図書館はペンの音やページをめくる音など、意外にうるさいので(神経質でない方なら問題はないと思います)僕は耳栓を持参していました。みんなと一緒に勉強できるので、勉強のペースを周りと比べることやコミュニケーションをとることもでき、意外な情報も得れたりします。でも同じ場所だと飽きてくるので、たまには趣向を変えて、家でやってみたり、実家に帰ったり、空いている教室をみつけてそこで勉強したりします。僕の友達で、就職先の医師控え室に机を作ってもらって、そこで勉強をしている人もいました。周りは医者ばかりなので、質問すれば的確な返答が返ってくる(はず…)のがいいですよね。病態生理などについて、友達同士で「なぜこうなるのか?」を話し合うと、ああでもないこうでもない、と結局推測で終わることが多いですからね…。

これは6年生以外の人に言いたいことなんですが、国家試験では非常に多岐に渡る問題が出題されます。僕は、進学試験のための勉強などで、「こんな知識を覚えても国試で使えるのか?」と疑問を持ちながら覚えていたんですが、「国試でも出題される!」と考えていいと今は思います。また国家試験までにはそれらの知識は覚えないといけません。それぐらいいろいろな問題が出されます。2年〜5年の人はそういう気持ちで普段の授業もしっかり聞くようにしましょう。授業では病態生理が説明されると思いますので、なぜそうなるのかを理解しながら聞くと忘れない知識になります。記憶の片隅に残っているだけでも大分違いますよ。それを土台にして記憶の枝葉を伸ばしていけますからね。何もないところから新たに覚えるのは大変です。僕は国試の勉強では、ある疾患について自分なりのストーリーを考えながら、なるべく丸暗記をしなくていいように、考えれば症状などがわかるようにしていました。しかし、授業をしっかり聞いておけば、もっとイメージが膨らんだだろうと後悔したので、授業を聞くチャンスがまだある人は、それを大切にしていったほうがいいですよ。ポリクリも非常に大切で、文章を読むだけでは理解できない、実際のイメージが浮かぶようになります。イメージと文章を結びつけることで、忘れにくい、より確実な知識とすることができます。ポリクリではいろいろな場面を見て置くようにしましょう。国試の勉強で必ずや役に立つはずです。

  

病態生理を考える上で、重要になることは、解剖学と生理学の知識です!!これは非常に大切です!解剖の知識がないと、名前を読んでも場所がイメージできず、周辺との関係もわかりませんから、症状などを丸覚えするしかできなくなりますが、解剖の知識があれば、なぜそういう症状が起こるのかを覚えなくても考えれば分かるようになります。一例を挙げましょう。頭蓋内において、内頚動脈はクモの巣状に広がる海綿静脈洞の中を走行しています。だから、内頚動脈が交通事故などで破裂すると→海綿静脈洞へshuntが起こるようになります。これが内頸動脈海綿静脈洞瘻ですね。また海綿静脈は眼球に近いところを走っているので、静脈圧があがれば眼球からの血液還流が障害され、眼球が心拍に合わせて飛び出すようになるのも理解できます。

次に生理ですが、この知識も非常に重要で病態生理を考える上ではこれが基礎の考えになります。基礎がなければ、その上に積み上げることができず、丸暗記に頼らざるを得なくなります。これも一例をあげると、副腎の酵素で覚えにくいややこしいものがありますよね。21-OH-laseとか17α-OH-laseとかいうあれです。これを覚えておくと(これは国試までには絶対に覚えておかないといけません)(どうして覚えるかは、ある程度は気合で覚えるしかないんですが…、僕は酵素の頭の数字を中心に覚えるようにしました)(図1参照)、11β-OH-laseが欠損すると……「男性ホルモン(DHEA、アンドロステンジオン)過剰による男性化症状、DOC↑による高血圧つまり低レニン低アルドステロン性の高血圧が起こる(低アルドステロンはわかると思いますが、低レニンは高血圧のため起こります)」というのが、覚えるのではなくて考えれば自分で導き出せるようになります。こうやって疾患の病態生理を考えるようにすれば、覚えないといけない量を最小限に減らすことができ、また応用の利く知識になります。

 図1



以下、執筆することにしていましたが、あまり利用者がいないため、現在お休みしています…。
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