デジカメ撮影術
すぐに使える知識とテクニック
※実践ですぐに役に立つデジカメ撮影術について書いていきます。一緒に勉強していきましょう。
※基本的な内容について書いていきますので、中・上級者の方は読み飛ばして下さい。
   (2007年12月23日更新)
各写真はクリックすると大抵大きな写真が開きます

※僕の撮った写真は、写真掲示板やこのページに置いてあります。

※当Websiteでは、写真仲間も募集しています。一緒に向上して行きませんか?詳しくは「写真仲間募集」のページを見て下さい。
 メンバー募集

Session1 絞りとシャッタースピードの関係

 カメラはレンズから光を取り込み、フィルムまたは映像素子にその情報を記録する装置で、適切な量の光を取り込んでやらないと写真が暗くなったり明るすぎたりしてしまいます。そこで光の取り込み方を調節する仕組みが絞り機構とシャッタースピード機構で、絞りは光を取り込む穴の大きさ、シャッタースピードはどのぐらいその穴を開けておくかという時間を表し、それぞれF、秒という単位で表わされます。人間の目でいうと、絞りが瞳孔の大きさ、シャッタースピードがまばたきをするまでの時間に相当するかも知れません。

 絞りの大きさはF1を基準にして、F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F6、F8、F11、F16、F22という具合に√2倍づつ増える数字になっています。この数値が一段上がる毎に、光を取り込む面積が1/2になり、フィルムに届く光量も1/2に減少します。同様にシャッタースピードが1秒、1/2秒、1/4秒、1/8秒、1/15秒、1/30秒、1/60秒、1/125秒、1/250秒、1/500秒、1/1000秒と早くなるに従って、フィルムに届く光量も1/2づつ減少していきます。

 フィルムや映像素子に取り込む光量をうまく調節しないと写真が暗すぎたり明るすぎたりしてしまうので、実際の撮影ではこの絞りとシャッタースピードをうまく調節してやらないといけないことになります。フィルムや映像素子に取り込む光量のことを「
露出」といい、適正露出は各写真により大体一定なので、絞りを絞るとシャッタースピードを長くする必要があり、絞りを開けるとシャッタースピードを短くする必要があるというのが、理解できるのではないでしょうか。しかし、最初はなかなか理解し難い内容だとも思いますので、以下の例えでよりイメージが湧きやすく解説してみましょう。




 絞りとシャッタースピードの関係は、「
風呂に水を溜める場合に、蛇口の開け具合と水の溜まる時間の関係」と置き換えて考えると分かりやすいです。この場合、「蛇口の開け具合=絞り」、「風呂の水がいっぱいになる時間=シャッタースピード」に相当します。
 蛇口を少ししか開けない(絞りを絞る)と風呂の水が溜まるまでに時間がかかります(シャッタースピードが遅い)。蛇口を大きく開ける(絞りを開放)と風呂の水はすぐ溜まります(シャッタースピードが早い)。そして風呂の水の量が適正露出(フィルムに取り込む丁度いい光の量)に相当します。

 そして普段より写真を明るくしたい場合は、フィルムに届く光の量を増やせばいい訳で、そのためには「絞りをより開放よりにする(蛇口を開ける)」または「シャッタースピードをより遅くする(長く水を溜める)」を行えばいいことが理解できるでしょう。要するに風呂の水をいつもより増やせばいいんですね。これを「
露出をプラス(オーバー)側に補正する」という言い方をします。雰囲気のある夕景を表現したい場合などでは、逆に露出をマイナス(アンダー)側に補正することもあり、その場合の絞りとシャッタースピードの関係は…、あえて説明しなくてももう分かりますよね(^-^;)

 実際のカメラでは、カメラの方で自動的に絞りまたはシャッタースピード、あるいはその両者を調整してくれることが多いので、これらのことを理解しなくても写真を撮ることはできますが、自分のイメージ通りの、よりよい写真を撮ろうと思ったときには、まずこれらのことを熟知しておく必要があります。具体的には、「マニュアル(M)モード」や「絞り優先(A)モード」、「シャッタースピード優先(S)モード」を使う場合には知っておかなければならない知識です。

 ここで実際の写真をお見せします。



 絞りF9、シャッタースピード(SS) 1/60秒


 絞りF2.8、SS 1/1250秒

 上の写真は絞りを絞って撮影したものです。絞りをF9にすると、SSは1/60秒となっていました(Aモード)。焦点距離は86mmで、手ブレが心配だったので三脚で撮影してあります。
 絞りを絞る(F値を大きくする)と適正露出になるまでに時間が必要なので、シャッタースピードも遅くなっています。絞りを絞るとどんな効果があるかについては、追々説明して行きたいと思いますが、絞りを絞るとピントが合っているところ以外も鮮明な描写をすることができますので、風景写真などでは大体絞りを絞って撮影します。


 上のお猿さんの写真は、絞り開放で撮影したものです。F2.8、SS 1/1250秒で、焦点距離は200mmです。これぐらいのシャッタースピードが稼げると手ブレを心配する必要がなくなるので、手持ちで撮っています。
 蛇口を目いっぱい開けていますので、風呂の水もすぐに溜まりました(SS 1/1250秒)(笑) 写真のように絞りを開放寄りにするとピントが合っているところ以外ではぼやけた感じになります。絞り開放は、余計な背景を写したくない場合などに重宝し、ポートレートなどでは大体絞り開放寄りで撮影します。


Session2 最低シャッタースピードを確保しよう

 いい写真を撮ったと思っていても、出来上がった写真をみて
手ブレを起こしていて、がっかりすることがあります。補正をしようとしても、手ブレだけはどうしようもできないので、その写真は捨てるしかなくなります…。写真の大敵である手ブレを防ぐ方法を学ぶことは、知っておくべきフォトテクニックの最重要に上げられるべき内容でしょう。そこでこのセッションでは、手ブレを防ぐための具体的な方法について説明していきたいと思います。
 まず大切なことは、焦点距離と最低シャッタースピードとの関係です。
焦点距離とはレンズからフィルム(または映像素子)までの距離のことで(実際のレンズは複数のレンズで構成されますが、トータルで一つのレンズとしてこの場合は扱います)、焦点距離が短いとフィルムに広い範囲の光が届くようになり(画角が広い)、広範囲を写真におさめることができるようになります。逆に焦点距離が長いと画角がせばまり、風景の中から一部分を切り取ったような写真になります。焦点距離が短いレンズのことを広角レンズといい、焦点距離が長いレンズのことを望遠レンズといいます。そして、望遠レンズにすればするほど、つまり焦点距離が長くなればなるほど、少しのブレでもフレームは大きく動くことになるので、手ブレが出やすくなります。つまり焦点距離が長くなるとより早いシャッタースピードを使わないと、フレームがずれて光の定点情報が定まらず、ブレた写真になってしまうことになります。
 では、具体的にはどれぐらいのシャッタースピードが必要なのでしょうか。一般的には、
手ブレを防ぐには「1/焦点距離(秒)以上」のシャッタースピードが必要だと言われています。つまり、24mmの広角で撮影するときは、「1/24秒」、200mmの望遠で撮影するときは「1/200秒」以上のシャッタースピードが必要ということになります。三脚で撮影するときはもちろん手ブレしませんので、この関係は当てはまりません。
 前のセッションでは絞りとシャッタースピードのことを学びました。そして絞りを絞るとシャッタースピードが遅くなることをご理解頂けたと思います。風景写真などでは絞りを絞って、細部までくっきり描写することが多く、そうすると必然的にシャッタースピードは遅くなります。風景写真は広角レンズで撮影することが多いので、手ブレを防ぐためのシャッタースピードは望遠レンズよりは遅くてもいいのですが、細部までくっきり描写しようとすると、特に暗いレンズを使っている場合はやはり三脚などを使用したほうがいいように思います。暗いレンズとはレンズのF値がF4以上などのレンズのことで、明るいレンズはレンズのF値がF1.4やF2、F2.8などのレンズのことを言います。F4のレンズでは、どんなに絞りを開放よりにしてもF4までにしかならないのです。明るいレンズのことを
大口径レンズと言ったりします。風景写真の場合は絞って使うことが多いので、あまり明るいレンズにする必要はないのですが、同じF8でも、暗いレンズで2段絞ってF8というのと、明るいレンズで4段絞ってF8では、絞りの段数の多い大口径レンズの方が画質がきれいなように思います。
 風景写真の場合はそれほど明るいレンズを必要とはしませんが、ポートレートなどで背景をぼかしたい場合や暗い室内での撮影などの場合は、大口径レンズじゃないとなかなか難しいでしょう。
 例えば、夕方の暗い情景を絞りを絞って写したい場合、もし三脚を立てられない条件では、最低シャッタースピードを確保するためには、どんな方法があるでしょうか。まずは、
@手ブレを起こさない撮影姿勢をとることが大切です。左手で下から握るようにカメラをしっかり支えて、左脇をしっかり締めます。そしてシャッターを押す瞬間は息を止めましょう。近くの柱などに体を寄せたり、膝や地面で肘をささえることも有効です。ここは個々人の技術の差が大きく現れる部分で、うまい人では「1/焦点距離」より数段遅いシャッタースピードでも手ブレしない撮影をすることができるようになります。次に考えることは、A明るい大口径レンズを使い、あまり絞りを絞らないようにするということです。絞りを絞るという前提なのに、ちょっと詐欺かも知れませんが(汗)、最低シャッタースピードを確保できない場合は、絞りを開放よりに設定しなおすという判断も大切なことだと思います。次に考慮すべきは、BISO感度(銀塩ではフィルム感度)を上げることです。ISO感度はCCDやCMOSなどの映像素子の感度のことで、感度を上げると少しの光でも反応し、光量の少ない条件下でも光を認識してくれることになりますが、ISO感度を上げすぎるとノイズが大きくなるという欠点もあります。ISOは基本的には一番小さな値で撮影し、必要なシャッタースピードがどうしても稼げない場合に、上げるようにしましょう。ポスターなど大きな写真に出力することがない限り、最近のデジカメではISO400以上でも充分使える画質を持っています。これも目的に合わせて判断しましょう。手ブレを防ぐ方法としては、C手ブレ補正レンズや、本体に手ブレ補正機能の付いているカメラを使う方法もあります。ニコンならVRレンズ、キャノンならISレンズとして売られているもので、カメラ本体に手ブレ補正機能のついているものとしては、パナソニック(松下電器)のLUMIX(ルミックス)シリーズや、一眼ではコニカ・ミノルタ(デジカメ部門はソニーに買収されました)のαシリーズなどのカメラがあります。これらの機材は一般に高価ですが、その効果は素晴らしく手ブレ限界のシャッタースピードからさらに2段、3段絞り込んでも手ブレしにくくなっています。

 具体的に写真を見ていきましょう。


 絞りF6.3、SS 1/250秒、焦点距離 150mm、ISO 800


 おねーさんの写真で恐縮ですが(汗)
 左の写真は室内での撮影です。一番右がお気に入りのおねーさんで(汗)、そこにピントを合わせるために絞りはやや絞って撮影しました。室内ということでISO感度は800まで上げています。レンズはNikon 70-200mm F2.8 VRで、VR機能はONにしていました。焦点距離は150mmで、シャッタースピードが1/250秒というのは、充分なような気がしますが、動く被写体の場合は余裕を持ったシャッタースピードにしたほうがいいので、これぐらいの絞りを選びました。
Session3 被写界深度と描写の違い

 このセッションでは、
被写界深度について勉強をしていきましょう。被写界深度とは何でしょうか?簡単にいうと、ピントを合わせたところからどのぐらいの範囲にわたって鮮明な描写が得られるかという範囲のことを言います。「被写界深度が深い」というと、広い範囲でピントがあった描写が得られ、「被写界深度が浅い」場合は、背景や前景がボケた描写になることを言います。
 一般に被写界深度は、「
絞りを絞るほど深く」、「絞りを開放にするほど浅く」なります。また「焦点距離が短いレンズ(広角レンズ)ほど深く」、「焦点距離が長いレンズ(望遠レンズ)ほど浅く」なり、加えて「撮影距離が遠いほど深く」、「撮影距離が近いほど浅く」なります。一度に書くと何が何だか分からなくなるかも知れませんが、実際の撮影術として以下のことを覚えておくとよいでしょう。「望遠レンズを開放寄りで使うと被写体の背景が大きくぼける」ということと、「マクロレンズで至近距離から撮影したり、普通のレンズでも被写体に踏み込んで撮影すると被写界深度が浅くなる」という2つは覚えておきましょう。マクロレンズとは最短撮影距離が短く、小さなものを大きく写すことのできるレンズのことです。

 百聞は一見に如かずですので、まずは実際の写真をみていくことにしましょう。


 絞りF10、SS 1/2.5秒、焦点距離 46mm


 絞りF3.2、SS 1/2500秒、焦点距離 90mm

 左の写真は絞りをF10まで絞って被写界深度を深めしてあります。前々回に触れましたが、絞りを絞るとSS(シャッタースピード)は遅くなってしまいます。この風景(鍾乳洞の入り口)の場合は、背景も暗くてSSが稼げず、このままだと確実に手ブレを起こしますので、三脚を使用しました。絞りを変化させたときに、どの程度の被写界深度が得られるかは、「被写界深度プレビューボタン」のある機種の場合は、そのボタンを押して、事前に確認することができます。
 上の説明で、被写界深度は「一般に絞りを絞るほど深く」と書きましたが、絞りを絞るほどクリアな描写が得られるかというとそういう訳ではないので、注意して下さい。それは絞りを絞るほど「
光の回折現象」という現象が起こるからです。昔、高校物理で習った、「狭い格子を通すと光が曲がる」というあれです。回折現象が起これば、光の定点情報が定まらずぼやけた感じになってしまいます。通常の撮影では画質優先のF5.6〜F11の中間絞りを使い、パンフォーカスを得たい場合や遅いシャッタースピードが必要な場合などでさらに絞る必要がある場合でもF22ぐらいまでにしたほうがいいと思います。遅いシャッタースピードが必要な場合は、絞りを絞りすぎるよりもNDフィルターを使うといいでしょう。一般にレンズの解像力はF8ぐらいがもっとも高く、きれいな描写が得られますので、F8を風景写真の基準として覚えておくとよいでしょう。一般的に、最開放からF4までを開放絞りといい、F11以上を小絞りといいます。
 右の場合はマクロレンズを使い被写体に接近し、さらに絞り開放寄りで撮ったものです。被写体にだけピントが合って、背景がぼけていますね。人物を写したい場合などは、背景がごちゃごちゃしていると目障りなので、絞りを開放寄りにして、浅い被写界深度で、背景を整理して撮影することが多いです。この写真はマクロレンズで撮影しましたが、望遠レンズの開放寄り撮影でも大きなボケを得ることができます。ただ、望遠レンズとマクロレンズでは切り取られる画角に差があり、望遠レンズだと
圧縮効果が現れるのですが、それは追々解説していくこととしましょう。開放寄りの撮影をするためには、明るいレンズ(大口径レンズ)が必要となります。最近のレンズは絞り最開放でも解像力が高いものも多いですが、一般に絞り開放側ではレンズの諸収差が現れやすいですので、余裕があれば絞りを1段か2段絞って撮影するほうがいいかも知れません。それは使用しているレンズの性能をみて臨機応変に判断して下さい。
 過焦点距離と被写界深度との関係については、後で執筆する予定にしています。


Session4 覚えておきたい、目安のシャッタースピード

 
通常セットしておくモードは、A(絞り優先)モードがよいと思いますが、状況によってシャッタースピードを優先的に決めたい場合も出てきます。例えば川や滝の流れなど水をどう表現するかという場合、スポーツやモータースポーツ、列車など動く被写体を撮影する場合などです。夜景などで車のライトや輝点を写したい時、花火の撮影時などもシャッタースピードを先に決めておくことがあります。その場合はS(シャッタースピード優先)モードにして、シャッタースピードに合わせて絞りの方を変化させるとよいでしょう。そのためには目安のシャッタースピードを知っておかないといけないですので、このセッションではそれを一緒に勉強していきましょう。
 まずはシャッタースピードの変化と水の描写の変化についてですが、シャッタースピードを遅くしていくと人間の目でみるものとは違った、やわらかな感じに水を表現することができます。水を流して表現したい場合は、流速にもよりますが
最低1/30秒〜1/2秒のSSは確保したいところです。1/2秒を目標のSSとして覚えておいて下さい。


(Fig.4-1) SS:1/2秒、F22


(Fig.4-2) SS4秒、F10

 上の滝の写真(Fig.4-1)は、背景がやや暗かったため1/2秒のシャッタースピードが稼げ、流れを糸のように表現することができました。NDフィルターも使っています。背景が明るい場合や目標とするSSが稼げない場合は、NDフィルターを使い意図的に映像素子(フィルム)に届く光を少なくするとよいでしょう。NDフィルターとは、Neutral Density Filterのことで、色彩を変化させずに光量だけを減少させるものです。蛇口をさらに絞ることになるので、風呂の水がたまりにくく(笑)、SSが長くなるんでしたね。ND2は絞り1段分、ND4は絞り2段分、ND8は絞り3段分光量を減少させることができ、重ねて使うことも可能です。
 右の写真は冬の夕方でかなり暗い状況でした。これはAモードでF10に固定してSSはカメラ任せで撮ったものですが、暗かったためSS4秒となり、速い水の流れと遅い水の流れを同時に捉えることができています。いうまでもないことですが、三脚を使用しないと手ブレでどうしようもなくなりますので、こういう水の表現をしたい場合は、
三脚を必ず持って行くようにしましょう。


(Fig.4-3) SS:1/15秒、F8


(Fig.4-4) SS:1/800秒、F2.8

 Fig.4-3は画質優先でF8に固定したものですが、流れる水の描写という点では後2,3段絞って、SSを遅くしたほうがよかったかも知れません。
 Fig.4-4は、S(シャッタースピード優先)モードで撮ったものではないのですが、高速シャッター時の描写の違いを比べてもらうために載せました。
水を写し止めたい場合は1/125秒より早いシャッタースピードは確保したいところです。1/1000秒もあれば滝の飛沫も写し止めることができます。
 その他覚えておいたほうがいいシャッタースピードは、スポーツや列車、モータースポーツなど
「動きの激しい被写体を写し止める場合は1/500より早いシャッタースピード」、「動きのある被写体の背景をぶらしてスピード感を出したい場合のシャッタースピードは1/60秒〜1/30秒」などは覚えておいていたほうがいいかも知れません。動きのある被写体で、被写体はあまりぶらさずに背景だけを流したい場合など流し撮りというテクニックが有効ですが、この場合も1/60秒というのが基本のシャッタースピードになります。流し撮りとは、被写体にピントを合わせた状態で、被写体を捉えながら、その動きに合わせてカメラも動かすという撮影方法です。前述のように背景を大きくぶらすことができますので、よりスピード感のある写真になり、列車やモータースポーツ、鳥など動きのある被写体に対してはとりわけ重宝する撮影方法です。「困ったときの流し撮り」と言われるほどですので、是非覚えておいて下さい。花火はマニュアルまたはバルブモードで撮影することが多いですが、F5.6、SS3〜5秒を目安に覚えておくとよいでしょう。撮影条件やプレビューされた写真を見て後は微調整するとうまくいくはずです。


Session5 レタッチのすすめ(補正編)

 写真を撮ったときに、実際に目で見ていた感じと違う仕上がりになっていたということは誰もが経験していることでしょう。人間の視覚はとても精巧で、どんな状況下であっても目で捉えた映像情報を脳内で瞬時に補正して、正しい色や明度で視覚することができます。それが実際には正しくないとしても、人間にはそのようにしか感じられませんから、それを正しいとする以外は認識のしようがありません。

 ビルが、斜めに建っているようにではなく、垂直に建っているように見えるというのも、脳が映像をそのように補正しているからに他なりません(いわゆる
パース補正です)。人間は目でみたままの情報を視覚しているのではなく、脳内で様々な処理や補正を行ってそれを目でみた映像として視覚しているのです。脳内での補正には一定の法則がありますから、それを逆に利用したのが錯覚と呼ばれる現象です。

 残念ながら現在のデジタルカメラは、どんな状況であっても見たままの風景を再現するという域には至っていません。明暗の強い被写体では、コントラストの白トビや黒つぶれを起こしますし、カメラ任せだけでは、いつも適正な露出やホワイトバランスを得ることは難しいでしょう。たまたまいい感じに撮れることはあるでしょうが、それはあくまでたまたまです。カメラには映像処理を行うコンピューターが入っていますが、一枚一枚違う撮影条件下でもとの風景を再現することは難しく、
その力に負えない部分を補正するのが、レタッチの作業だと僕は思っています。レタッチは自然な感じを壊すのではないかという思いを持たれている方がいるかも知れませんが、むしろ逆で、レタッチによって自分の見た実際の映像に近づけていくことができるのです。ただ、現在のデジカメは、ホワイトバランスや色調再現など、画像処理エンジンも昔のデジカメとは比較にならないぐらいの進歩を遂げており、レタッチが必要な場面も少なくはなっています。

 実際にレタッチするときのことを考えてみますと、画像編集ソフトなどでレタッチを加えているときに、実際に見た映像を再現するというのは、自分の記憶を頼りにこういう感じだったと再現する訳で、そこには自分のイメージが大きなウエイトを占めて入っています。見たままの自然な感じを再現したいけど、その指標は自分の記憶に頼らざるを得ない訳です。レタッチを行う際に重要なのは、
自分のイメージを大切にして、それに近づけていくことだと思います。これは自然な感じが壊れることもあるので過剰なレタッチには注意したいところで、少し控えめにレタッチを加えることがコツだと思います。

 ここで実際の写真をお見せしましょう。


(Fig.5-1) SS:1/250秒、F8、28mm


(Fig.5-2)

 言うまでもなく左の写真がレタッチ前で、右がレタッチ後の写真です。どちらのほうが自然な感じを受けるでしょうか?レタッチによってこれほどの差が出てきます。Nikon D70Sはデフォルトの状態では露出アンダー気味になることが多く、出来た写真をみてガッカリすることが結構ありますが、レタッチすればイメージ通りになるのでどのカメラを使っているかは特別大きな問題ではないような気がします。それよりも白トビや黒ツブレ、画面構成、ノイズは後からレタッチを施そうにもどうしようもないですので、撮影時にはそこを特に気をつけるようにするほうがいいでしょう。

 (Fig.5-2)の写真について、レタッチした点は、色空間(カラー設定)とホワイトバランス、トーンカーブ、カラーブースター、空と緑の彩度アップと緑の明度アップ、逆光補正です。画像編集ソフトは
Nikon Capture 4を使っています。これはRAW(NEF形式)やJPEG画像をレタッチ(補正)するにはとても使いやすいソフトで、ニコンユーザーのアドバンテージの一つと言ってもいいぐらいのものです。写真を切り抜いたり、合成したりするようなより積極的なレタッチを行うときにはPhotoshopを使います。これだけ補正してやっと「自分の見たイメージ」に近い写真になりました。

 もう1つの例を示しましょう。


(Fig.5-3) SS:1/320秒、F5、200mm


(Fig.5-4)

 左の元の写真では緑がかった印象になって、全体の印象も眠たい感じがします。あざらし君が眠たそうという意味ではありません ヘ(_ _ヘ)コケッ  その点を改善するために右の写真では、ホワイトバランスとカラーブースターを軽度調整し、さらにトーンカーブをいじってコントラストを強くしてあります。トーンカーブをいじると印象が劇的に変化します。トーンカーブを変化させる際には、自動コントラストという機能が大抵ついていますが、これをやると色のバランスが大幅に崩れて変な色調の写真になることが多いので、参考程度に留め、やはりひとつひとつ手作業で調整をしてやる必要があります。これが正解というものはありませんので、自分のイメージを大切に、スライダーバーを少しずつ動かし、根気よく最もいい色のバランスを探してみて下さい。最後にアンシャープネスをかけてクッキリさを上げています。

 レタッチの作業を行う際には
自分のイメージをしっかりと持って、またそのイメージを再現するための技術を身につけることが大切です。それにはやはり経験を重ねるしかないように思います。いい写真や風景をたくさん見て、自分の目を肥やすことも大切なことでしょう。

 デジカメ写真の最大の利点は、後からいくらでもレタッチ(画像編集)が出来ることだと思いますので、この恩恵を活用しない手はありません。フィルムカメラでは、CCフィルターやLBフィルターなどで補正が必要だった場面も、デジカメなら後で如何様(いかよう)にも、それこそイメージ通りの写真にすることが出来ます。レタッチ技術がデジカメ撮影テクニックの大きなウエイトを占めていると言っても過言ではないですので、多くのレタッチをやってみて、みなさんもその技術の向上に努めてみて下さい。



Session6 露出補正の考え方

 カメラの自動露出補正機能は、晴天・順光の自然界の平均的な明るさを基準にして決定されます。空の青や葉の緑など自然界の一般的な明るさは反射率18%になり、カメラ側は常にこの明るさに近づけるように、出来上がる写真の明るさを決定しています。反射率18%はグレーの明るさに相当し、カメラで真っ白な被写体(反射率約90%)を撮影すると純白ではなくグレー寄りに写り、逆に黒い被写体(反射率約3%)を撮影しても漆黒ではなくグレー寄りに再現されてしまいます。また、逆光など極端に明るい被写体の場合はそのまま撮影すると見た目とは違い露出アンダーに、夜景や夕景など通常より暗い被写体の場合は、見た目より露出オーバーに映ってしまいます。つまりカメラのAE(自動露出)機構を使用する場合、黒っぽい被写体や白っぽい被写体を撮影する場合や、また、明るい被写体や逆に暗い被写体を撮影する場合は、その程度に応じて露出の補正をしなければ、見た目通りの写真は撮れないわけです。ただし、カメラによっては白飛びしやすい機種や黒つぶれしやすい機種などがありますので、注意して露出補正を行う必要はあります。
 適正露出を得るための露出補正はある程度経験が必要でカメラの一番難しいテクニックの一つでもありますが、基本的な考え方としては、「
白っぽい(明るい)被写体を撮影する場合は、露出をプラス補正。黒っぽい(暗い)被写体を撮影する場合はマイナス補正」これを覚えておきましょう。デジカメの場合はRAWファイルの加工により、カラーネガフィルムの場合は現像時の補正により、露出の修正をすることができますが、あまり大きく露出補正をすると写真のバランスを崩してしまいますし、撮影時にきちんと露出補正を行っていれば、そのままの画が使えるので楽です。
 ここまでは見たままの適正露出の話ですが、撮影者の意図によってわざと露出を落としたり、逆に上げたりすることがあります。
 撮影時の露出補正としては、まず見た目の露出を再現する露出補正を行い、さらに自分なりの味付けを加えて最終露出を決定するというプロセスを頭の中で行う必要があります。
 露出決定の方法としては、
スポット測光AEロックを使った方法などもありますが、まずは通常の多分割測光モードで、撮りたい写真の色や明るさに合わせて露出補正を行ってみて下さい。デジカメは手軽にプレビューが出来ますので、露出決定の難しい多分割測光モードでもプレビューで細かに確認をするようにすれば、狙い通りの露出を得ることができます。撮影時に露出を考えて、一枚一枚忘れずに補正を行うことが大切です。そうやって撮った写真はより一層愛着が湧くことでしょうし、狙い通りの画が撮れた場合の喜びも格別です。
 露出補正の幅は、概ね
-1.0EVから+1.0EVの範囲で大丈夫だと思いますが、プレビュー画面を見て必ず確認を行い、必要ならさらに露出補正を加えるようにしましょう。逆光下などのカメラの不得意な画では、+2.5EVの大幅な露出補正を行うこともあります。プレビューでその都度確認を行うことが大切です。どの程度補正を行うかは経験が必要で、自分で身に付けていくしかありません。露出設定ステップ幅を1/3にしている場合は、通常は0.3EV、0.7EV、1.0EVの大体3つの中から選べばよいので、思うほど難しいものではありません。純白の場合は+2.5EV、純黒の場合は-2.5EVです。
 具体的な例としては、黒っぽい被写体と白っぽい被写体の2種類を載せてみることにします。




(Fig.6-1) この写真は黒を黒っぽく再現するために、撮影時に-0.7EVの露出補正を行っています。カメラ任せの多分割測光の場合は、露出補正を行わないとこのような黒は再現できないでしょう。RAWで撮影してパソコンでの現像時に必要な補正を行うことやJPEG画像のトーンカーブを触ることなどで補正をすることもできますが、撮影時にきっちりと設定をしておけばその手間が省けます。旅行などで大量の写真を撮る場合、RAWで保存すると撮影枚数が少なくなってしまう場合などは、撮影時に露出補正を行うようにしないと一枚のカードに大量の写真を保存することができません。これはFujiFilm S5Proで撮影したもので、JPEG撮って出しで充分使える画質なので、レタッチをする機会がかなり少なくなりました。





(Fig.6-2, 6-3) 1/1000秒、F8.0、116mm、ISO400、VR
(お使いのモニターによっては、明るさや色が正しく表現されていないことがあります。)
 上の写真が撮影時に+0.7EVの露出補正を行ったもの、下の写真がカメラ任せの露出の写真です。下の写真では白さが失われてグレーに近くなっています。いずれもJPEG撮って出しで、後からのレタッチは行っていません。これもS5Proで撮ったもので、ダイナミックレンジは400%に設定しています。RAW(RAF)ファイルでトーンカーブを確認しましたが、白飛びは起こしていません。S5Proはネガフィルムに匹敵する広いダイナミックレンジを有し、露出補正をする場合に白飛びや黒つぶれをする心配をすることがほとんどなく、意図するままに露出補正を行っていますが、使用するカメラによっては注意しないといけない場合があります。
 自然な明るさや色を再現する場合に露出補正は必須のテクニックで、失敗しない画作りのために、また経験を積むためにも是非露出補正に挑戦してみて下さい。



 僕の撮った写真は、写真掲示板やこのページに置いてあります。

 当サイトでは、現在、一緒に写真ライフを楽しんでくれる方を募集しています。自分の撮った写真を掲示板に貼り付けて、人にみてもらうことでよりよい写真を撮りたいという意欲になると思いますし、自然に写真技術の向上もはかれると思います。お気軽に参加して下さい。近くのメンバー同士で撮影会なども行いたいと思います。会費はもちろん無料です。ただ名前だけ参加していても何にもなりませんので、メンバーに登録された方は1ヶ月に1度は掲示板に写真を貼り付けるという規則を設けました。このクラブを通じて、一緒に写真道の高みを目指しませんか?詳しくは以下の募集ページをご覧下さい。

メンバー募集